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私はお茶が身近な環境で育ちました。今までに様々な美味しいものをいただいてきましたが、懐石料理で初めにいただくひとくちのご飯、これが何よりも美味しいと思っています。懐石料理は、お茶事で後の濃茶を美味しくいただくために供されるもの。旬の素材を用い、無駄をそぎ落としたシンプルな懐石は家庭料理の原点でもあります。本来は4人くらいの少人数で行われるお茶事。お越しいただいたお客様のために心を込めて料理します。家族や身近な誰かのために作る家庭料理もそれは同じ。私のこだわりは見た目に美しい料亭の料理ではなく、家庭の和食。懐石と同じこころで作ります。 |
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和食に欠かせないのがおだし。おだしをしっかり取って、素材の味を引き出すためにごく少量の調味料を使います。きちんとしたおだしがとれて、素材を見る目ができあがれば和食の8割くらいの腕はできあがっているのではないかと思うほど。油で旨みをつけたり、砂糖などで濃く甘辛くしてしまうのは、きちんとしたおだしが取れていないから。けれども料亭のように花かつおを使って火加減、タイミングに気を遣って…これだけで面倒に感じてしまいます。料亭とは違った簡単、手軽に美味しいおだしが取れる家庭での方法。まずはここからお教えします。 |
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新しい調理器具を使って時間や手間を短縮したり、肉類や新しい野菜を使って伝統の味に今の美味しさをプラス。昔ながらの日本料理を崩しすぎることなく、忙しい現代にあわせた”新和食”を提案していきたいと思っています。例えば魚の塩焼き、ご飯、みそ汁の献立だと油を使った料理を食べなれている最近のかたがたには物足りなく感じるでしょう?そんなときには今までの和食に合う油を使った一皿…オリジナルの現代版炊き合わせ(例:水なすと牛肉のサラダ仕立て、など)をご紹介します。 |
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忙しいかたがたが増えた今となっては、デパ地下でも料理屋でもなく、家庭料理が一番高級なものなのかもしれません。フォーマルな料亭の料理は見た目にも美しく高揚感があります。素材は色よく下茹でしてから仕上げられ、できあがった料理は器も楽しめるよう少なめに高く盛り付けます。それに比べてカジュアルな家庭料理は見た目よりも味わい重視、野菜などもそのまま煮て旨みを閉じ込めます。そして器には気取らずにたっぷり。どちらも嬉しいものですが、何度いただいても飽きることなく、癒されるのは家庭料理ではないでしょうか?毎日が無理でも、せめて週1回、1品でもいいから作っていただきたいものです。忙しい現代だからこそ、家庭で食べる料理を美味しいと感じたり、食べる楽しみを家族で共有したりすることが必要なはず。身体にも優しいうえ、心まで豊かにしてくれます。特に食育に関わる若い世代のかたが家庭で作る機会が増えるよう、お手伝いできればと思っています。仕事もできるが料理もできる!という日本の女性が増えていくことを願っています。心を豊かにしてくれる日本料理、懐石の魅力を伝えていきたいと思っています。 |
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茶道武者小路千家十三世家元有隣斎と千澄子の長女として京都に生まれる。同志社大学文学部で美術史を専攻し陶磁器の研究に携わる。茶懐石料理研究家の第一人者でもあった母親の影響から日本料理にはとくに造詣が深い。また、海外にも積極的に出かけて現地の食材や新しい調理器具を取り入れるなど、時流にのった独自のスタイルで新和食を提案。近年では、仕事に子育てに多忙な30〜40代の女性に、『正しい和食を親しんでもらいたい』との思いから、だし・ご飯・魚の3つのテーマからなる全3回の料理教室を主催している。
(肖像写真撮影:阿部 浩) |
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